ジョエルオーキッドの出会いから25年
- Yoshinori Fujita
- 2 日前
- 読了時間: 3分
【ジュエルオーキッド物語】──マコデス・ペトラとの出会いから25年
今から約25年前、とある植物に出会った瞬間、私は言葉を失いました。葉脈に走る黄金の光──それが**マコデス・ペトラ(Macodes petola)**との出会いです。
ジュエルオーキッドと呼ばれるこの植物は、花ではなく葉が宝石のように輝くのが特徴。その美しさに心を奪われ、「なんとかこの植物を育てたい」と強く思ったのを今でも覚えています。

枯らしては学び、また挑戦する日々
当時、日本ではほとんど情報もなく、栽培はまさに手探り。試行錯誤の連続で、たくさんの株を枯らしました。しかしそのたびに、育て方のコツをひとつずつ学んでいきました。
苦難の記憶① 枯らして 枯らして 夏に溶けて
苦難の記憶②──「販売できないかもしれない」という不安
それから10年ほど前のことです。マコデス・ペトラが絶滅危惧種に指定されるというニュースが飛び込んできました。
当時、私は販売用に約5,000株を準備していたタイミングでした。このまま販売が禁止になるのではないか。長年の努力が水の泡になるのではないか──そんな不安が胸をよぎったのを、今でもはっきりと覚えています。
植物の保全と流通の間でどう折り合いをつけていくのか。正直、簡単な問題ではありませんでした。最終的には、種の由来や証明書の整備を徹底し、合法的な栽培・販売ルートを守ることでなんとか乗り越えました。
この経験は、単に植物を「売る」という行為の裏に、環境や倫理との向き合いが不可欠であることを強く教えてくれました。

今は仲間が受け継いで
今は私は栽培の第一線からは退いていますが、大学時代の友人がその後を引き継ぎ、より洗練された方法でジュエルオーキッドを育て続けてくれています。
この当時の画像 1枚。この1鉢から始まった小さなチャレンジが、23年の時を経て、ひとつの市場が出来上がったことに、感慨深いものがあります。
ジュエルオーキッドは、今も静かに輝いている
花ではなく葉を楽しむ植物。その中でも、マコデス・ペトラは特別な存在です。目立つ存在ではないかもしれませんが、確かな魅力を放ち続けています。
もしまだ出会ったことがない方がいたら、ぜひ一度その輝きを見てみてください。ジュエルオーキッドの世界は、きっとあなたの植物の世界を変えてくれるはずです。
少しずつ増えていったジュエルオーキッドたち
最初はマコデス・ペトラから始まりました。その後、ルディシア・アルバやルディシア・ブラッドベッセルを加え、少しずつコレクションが広がっていきました。
とはいえ、導入するたびに枯れてしまう個体も多く、当初はなかなか安定して栽培できる状態にはなりませんでした。
それでも地道に取り組み続ける中で、徐々に強健な品種へと入れ替わり、今回6種類ものジュエルオーキッドを提供できるようになりました。
中でも最近は**アネクトキルス属(Anoectochilus)の多様性が魅力的で、葉の模様や色合いにバリエーションがあり、育てていてとても楽しいグループです。
Comments